書籍「他者と働く」 から考える / 1on1 について
この記事では、宇田川先生著作の「他者と働く」 を読む中で考えさせられたことを記載しています。
今回は、近年企業で採用されている1on1 ミーティングについて、本書に照らし合わせて考察しています。
1on1 を考えてみる
1on1 という「対話」を定期的に実施している企業は多いと思う。私は、1on1 の一般的な有効性は理解していた。しかし本書を読むことで相手の「ナラティブ」をよく考えて実施しなけれはいけないと気がついた。どのような課題があるのか、どうすればいいのか、本書にてらして考えてみる。
そもそも「対話」ができているのか
企業内で1on1 ミーティングを「プロセス化」する際は、何らかの教育を管理職に実施する。その意味を理解する上で教育の実施をした方が良いと思うが、それだけで管理職が突然「対話」ができるようになるわけではない。 勉強熱心な方は、コーチングというテクニックを習得されている場合もあるし、意識が低い場合は、会社から言われているから「場」を作るだけの方もいる。そもそも「場」も作らない人もいる。 企業側からすると要するに人任せ、管理職のスキルや意識に対して依存している。
往々にして、IT系企業ではエンジニアから管理職になった人が多く、1on1 についてもシステマティックに実施したい、と思っている節もある。私もそうであった。
1on1 ミーティングの教育などでは、「双方向コミュニケーション、質の高いコミュニケーションをとるようにしていきましょう」、などと言われるが、それがどのようなことなのか、深く考えていなかった。
テクニックや面接スキルも重要だが、型にはまった「コミュニケーション」ではなく、「対話」を行う必要がある、ということを「他者と働く」で気づいた。
- 「他者と働く」から得た1on1 に取り組む際のポイント
- 自分のナラティブを脇においておけるか
- 相手の主張が理解できるか(相手のナラティブを理解できているのか)
1on1 での課題
では、これまでの1on1 でどのような課題があると感じたのかを挙げてみる。
- 雑談が多くなる
- 話しやすさを意識するあまり、雑談をし過ぎる場合あり
- チームメンバは、話したいことがあるのに、「無理に合わせてくれている」可能性もある
- 相手の意見に合わせてしまう
- こちら側も、納得できていない意見などについても迎合してしまっている部分あり
- 信頼関係と馴れ合いの差が見えていないのかもしれない
- 相手の成長を考えて・・意見をいう
- 相手の仕事上の活躍やスキルの成長は願っている。もしかするとそれ自体、相手のナラティブとは異なっているのかもしれない
- 何か「的確な」回答をしなければと思ってしまう
- 「昔は・・」、「私のやり方は・・」など押しつけがある
- 無言の時間が耐えられない、という思いがある
とにかく、すべて私側のナラティブに基づいた1on1 になっている気がする。 例えば「主体性を発揮してほしい」というのは、上司側のナラティブ。都合よく能動的に動いてほしい、という要求である、と分かった。
組織の中で「誇り高く生きること」のために
「他者と働く」の中で一番心が震えた言葉が以下である。
- 組織の中で「誇り高く生きること」
- 対話に挑むことの別の言い方
- 理想を失わずに生きること
- 常に自らの理想に対して現実が未完成であることを受け入れる生き方
さらに以下の言葉は、メンバが「違和感」や「居心地の悪さ」を感じた際に考え直す、基軸としたい。
- 人の育成は、「その人が携わる仕事において主人公になること」
- 「主人公」になれないと。。。
- いつも頑張っているのに認めてもらえない(他者視点での自分の評価に依存している)
- 仕事の意味を感じられない(生活のためだけにつまらない仕事を我慢している)
- 自分が生かされていない(自分のために組織がある、という過度の自己意識)
- 「主人公」になれないと。。。
チームメンバ全員が同じ方向性に向かって行けるようにするには、「対話」の実践にて各メンバが「主人公になる」ように導ければと思う。
だたし、具体的に何をすべきか、どのように1on1 を進めるべきか、という解はないと思う。「私とそれ」ではなく、「私とあなた」という関係性を大事にして「適応課題」に取り組みたい。